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インナースピーチ素材を活用した語学学習方法

2010-12-11 by ebon | Lavel:

インナースピーチ、インナーカンバセーション、モノローグ
これら心内言語とか内言語の範疇にあるものを、語学学習に活かせないか興味を持っている.

ただ、研究に基づいているようなインナースピーチの学習方法の話をすることは難しいので、
インナースピーチのような文章が使われているものを伝統的学習の素材としよう という、近似的なテーマを置いた.
そのインナースピーチを思しき素材案を、いくつかピックアップしてみたので紹介したい.

関連書について少し紹介

素材案の紹介に入る前に、このインナースピーチwith語学学習というテーマについて、
学術的に研究はされている.関連する本に少し触れたい.
それがこちらの、Inner Speech - L2: Thinking Words in a Second Language だ.

内容は、以下のような研究動向中心の学術的なものである.

  • インナースピーチという概念の歴史と理論の基礎
  • 母国語のそれと第二外国語のそれとの関係やインナースピーチを利用した第二外国語取得の方法の評価・リサーチ
  • 第二外国語の習得過程におけるインナースピーチの発展、社会学的な見地 
  • 将来的な研究についての教育学的見

1,2チャプターで、理論的基礎として、ソコロフやヴィゴツキーを十分に取り上げている点が興味深い.

気になる具体的な学習方法についてだが,適切な活用方法/本当に効果的な学習方法になり得るのか ということを知るためには,以下のような問いを実験を通じて検証していく必要があるという.

  • 第二代国語で考えるとはどういう状態か
    • そもそも言語と思考との関係は
  • 第二代国語で考えるために適切な学習法は何か
    • そもそも有効な学習法なのか
  • その具体的な学習方法
  • この学習を取り入れるのに適した習得レベルはどの段階か ...etc

注意しておきたいことは、そもそもこの研究自体がマイナーで、実験に基づいた上といっても実験自体少ないという状況だということだ.この研究においても、具体的メソッドの構築や対照実験などが多くされてはいないようだ.

そんな理由から、この書籍のことはひとまず置いておいている.
インナースピーチを活用した語学学習方法を模索するには、音読や暗誦など伝統的な学習と組み合わせるのが無難なアイデアなのではという意図でこの記事を書いている.

素材案

それでは、本題の素材案の紹介に入りたい.といってもありがちなものは否めず有益な情報になるかは分からない.

ひとりごと学習系統本

朝から夜まで絵でみるひとりごと英会話 (アスカカルチャー)
まずはストレートなものから.意外とこういった内面の言語の表現素材集が少ない. ひとりごと学習とかつぶやき学習とかhow-to本は多くあるのだが...

意識の流れを表現している文章

有効なフレーズだろうが、短文暗記をコツコツこなす事はなかなか難しいことだ.
また、自分の感情を伴っていたり、文脈の中の一文として暗記しないことには大きな効果は期待できない.さらに、ひとりごとフレーズ系やメモ系素材は、精製後の状態とも言える.

これらの点に対して、次の意識の流れ素材活用の方が、以下の点から、効果的になると言える.

  • 素材が気に入った文章であればやっていて楽しい
  • より内言語?に近い形態と思われる

そもそも、、上記のInner Speech - L2本でいうインナースピーチには括られないというか、意識の流れは文学的手法であって、違うものになってしまう.ただ、大きく括って、ここでは、”脳内での声にならない言語活動”を
表現しているようなものを素材として対象にしたい.

Portrait of an Artist
言わずと知れた、ジョイスによる、ある芸術家の半自伝的長編小説。 邦題:「若き芸術家の肖像」. ストリーム・オブ・コンシャスネスというと、ユリシーズの方が有名だが、こちらの方が読みやすいとの声も.物語としてもユリシーズに繋がるものらしい.
 
Mrs. Dalloway
サマセット・モームの世界10大小説にも取り上げられている、ヴァージニア・ウルフによる長編小説. 多種多様な人物の独白型小説と言えるものであり、流れるような口語体で次々と人物が入れ替わる.ジョイスのものよりは、文体的にもストーリーの明確さの点でもはるかに読みやすいと言える.
 
Monologue Of Consciousness
上記のストリーム・オブ・コンシャスネスにインスパイアされた著者が、自身の思考をそのまま書くことを試みた本. 考えや感情、突然の話題切り替わりなど、ただつらつらと思考の流れが書かれている. これまで見たなかで、意識の流れを記した素材という点で、最も私のニーズに合うものだ.

cognitive therapyやaffermation

Self Parenting: The Complete Guide to Your Inner Conversations
認知療法的方法ならまだしも、自己啓発っぽいのとかアファーメーション的な話には、 拒絶反応が出てしまう人は多いかなとは思う. まあ自己内での会話というものの参考にする程度は良いかもしれない.

終わりに

今回の主旨は簡単に言うと、”英語で考えるようになりたいっていうなら、音読や暗誦など伝統的な学習を実施において、より思考に近い英語を素材とすれば効率的なんじゃない?”というものだった.
その観点に基づいて、インナースピーチ系の素材を紹介していった.
今回取り上げたものはごくわずかだ、今後もっと漁っていきたい.

その前に、、ほんとにインナースピーチを活用した語学学習メソッドに期待するのであれば、
まず同本を読む必要があるだろう..

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