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[reading log] How to become smarter book review

2011-02-05 by ebon | Lavel: ,

kindleで読む洋書を米アマゾンであさっていたところ、

How to Become Smarter

というタイトルはベタだが中身は
いかにも現代風の良書を発見したので少し紹介したい.
エンハンスメントとか次世代教養に関するテーマの本を漁っていた際に発見した、関連書籍だったと思う.
なので、よくあるノウハウや持論から来るコツをたらたら述べている本でなく、
知能増強とかきわどい話を期待してみて読んでみたが、それを比較的裏切らない内容だった.

Who?

邦訳するならば、「いかにしてより賢くなるか」というようなテーマの本書である。
そんなテーマの性質からして、まず、”著者は誰なのか;どんなバックグラウンドの人物なのか”
という点で安心しないことには、この手の類いの本は読む気など起きないだろう。

著者のDr. Shevchukは、ロシア人であり、分子腫瘍学?を専門とする、ジョージワシントン大学の教授だ。
著者/共著者として、生体臨床医学に関する14もの論文を書いている。

そんな著者が、専門分野である生体医学の知識とそれを基にした実体験ともに,認知活動を改善するためのtipsをまとめ、一般読者による実践をサポートする目的で書いたのが本書だ。

内容

本書を読めば、以下の12のような事の達成をサポートできるとしている。

  1. 適正試験やIQテストのスコアをアップする
  2. 興味のない(しかし、学校や仕事の関係で読まなければならない)複雑な本を理解する
  3. 仕事/学校の関係のリーディング、ライティングタスクを何時間も集中して取り組む
  4. 先延ばしを減らす、ライターズブロックを解消する
  5. 学校 or 仕事の成績を向上する
  6. ドラッグなしで陶酔感を経験し、必要なときに新しいアイデアを得る
  7. 研究や大きなライティングタスクのような、長い孤独を強いられるタスクに立ち向かう
  8. 性急で衝動的な意思決定を防ぐ
  9. 怒りや敵対心を抑制する
  10. 衝突や口論なしに人々と円滑な関係を築く
  11. ウィットを交え、おしゃべりに、人々を楽しませる
  12. 環境や状況に合わせて、体や精神機能を改善する要素を自分で処方する


これら実現のために本書で提案されている方法は、主に以下2つと言える。
それは、栄養学に基づいた食生活(3つのSmart dietと呼ばれる方法が提案)と、冷水/温水による体温のコントロール法だ。

海外のレビューでもあったが、タイトルを変えるべきなのかもしれない.
上記12の事からは直接イメージできないと思うが、
食生活・食物成分のリソースガイドと言ってもいいほど、食事による気分調整法が中心だ.

ソーシャルインテリジェンスに関してもチャプターを割いているのはいいが、
食生活、冷水法などに比べると内容があっさりしていて、一般によく見かける程度のものだ.
さらに結局食生活による感情コントロールがキーになることとして、結局そこに立ち戻ってしまっていたりもする.

信頼性としては、冒頭部分で内容について注意を述べている通り、
できる限り科学的エビデンスに関する情報を記載するようにしている.
加えて著者自身、エビデンス不十分なものも多く提案している事は認めており、
それらケースでは自分の体で試してみた実体験も論拠として中核をなしている.

お勧めする理由

結論から言って、この本はとてもオススメだ。それは以下の3点からだ。

実践的な生理学的アプローチであること

まず著者は、接種栄養素をコントロールすることで、意図的に気分を高揚させることも低下させる事は適切に行えば比較的容易だとしている。
考え方を変えるのではなく、脳の状況を変えるという事が大前提である。
また自身の実験を通じて、気分を変動させる要素を探って確立するなど、なかなか類書には見られない実践的な内容だ。

注意力強化、不安解消、気分高揚/低下、不眠対策、寝不足解消、読書・ライティングへの集中、対人スキル向上
と一見雑多なテーマを詰めているように見えるかもしれない。
しかし、認知上の活動として扱っており、これら豊富な具体シーンと合わせて考える事で、
認知に対する環境(栄養素、体温..etc)による影響について、体系的な理解を得る事ができる。

またその逆、炭水化物で睡眠を誘発したり、たんぱく質を不足させることで感受性をアップさせるといった、
逆に望ましくない効果を応用する方法も提唱されている。夜に冷水浴して不眠症になるとかも。
効果を発揮させるに必要な時間、接種目安とともに紹介されておりとても詳しい。

”こういう食生活にせよ, 良い睡眠を取れ, 脳を刺激する○○の習慣にしろ, 怒りを感じる前に日々の考え方を変えろ”という本はよくあるが、
思考/感情を脳の生理反応としてコントロールするアプローチに徹底している点は、日本ではまだ少ないと思われる。

読みやすさ

チャプターごとにサマリーが付いており、それを読むだけで内容が大方掴める。
さらに、チャプターごとにキーポイントが付いており、大枠情報->詳細情報がとことんたどりやすい。

各ポイント間ではリンクがされており、
サマリー -> サマリー -> サマリー ..
キーポイント -> キーポイント -> キーポイント ..
と飛んで行きながら非常に軽快な読書ができる。

電子書籍なら当たり前なのかとも思うが、明らかに読書体験が変わる事は分かる。
点検読書、速読が自然とできるような構造になっている。

また、本編は、約60%であり、残りの40%は、栄養素に関する捕捉資料の装いになっている。
そのため、ガイドブックとしての機能も非常に高く、手元に一冊?あってもいい本と言える。

価格

現状発売されているkindel版では$2.99と、非常に安いのが嬉しい。
paperbook版も、kindle版に1ヶ月強遅れ発売されるようだが$3では買えないだろう。

最後に

このような栄養学的アプローチを実践するにあたって大切なことは、やはり自己の体で実験、観察を継続的に行う事だろう。
その観点から言えば、本書のように人によっては望ましくない効果を出す方法も合わせて行うことは効果的だ。逆効果により比較対照を行うことで、より自分に取って望ましい食生活が明確にしやすいはずだ。

定期的な運動や、美容ケアに誠意を持って取り組めば良い効果があるのと同じように、
こういった生理学的アプローチもそれなりの効果は期待できるだろう。

日本語で読める類書もなくはないので、英語がいやであれば、以下辺りを読んでみる事から始めるのがいいかもしれない。How to become smarterほど実践的ではないが。


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